裏から手をまわす
粘土の立体を作り始めた。
四角い平らな板を粘土で作り、その四辺にヒモ状の粘土を積み上げて、ちょうど土器を作る時のように壁を立ち上げていく。
四辺の壁が必要な高さになると、今度は内側に手を入れて、左右の手で、表と裏から形を整える。
中に入れた手は、作品の裏側の見えない粘土のしわや重なりの段差をならすのが仕事だ。
このとき、左右どちらの手を中に入れるかで、その働きぶりに、かなり微妙な違いがあることに気がついている。
左の手は、しわや段差を見つけると同時に自己判断して、粘土を平らにならし始めるのに対して、右手はしわや段差がある事を、毎度、脳に報告し、指示を待っているようなワンクッションの間があって、わずかながらもどかしい。
だから見えない部分は左手で作る方が早い。
しかし、右手は左手の仕事のあと、取りこぼしがないように確認するのには適している。
上手くできている。
美しい話でしょう?と言いたい気もするが、あたりまえと言えば当たり前なのかもしれない。
(終)
2011.06.08 | | コメント(0) | トラックバック(0) | よしなしごと
